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海外建設事情

海外建設工事、設備工事における新型コロナウイルス感染症による工期遅延・延長と追加の費用、損失について

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新型コロナ感染症は、世界のビジネス分野に影響を与え、WHOはパンデミックと戦うための緊急事態を宣言しました。
多くの国で国境を閉鎖し、建設業界においてもサプライチェーンの中断による資材不足など、建設活動に大きな影響がありました。

いま建設プロジェクトは、工期延⾧(Extension of Time :EOT)、損失と経費(Loss and Expenses :L&E)の請求への適切な対応を求められています。

今回、当社の参画するプロジェクトの例を含め、新型コロナ感染症に対し、どのようにプロジェクトを進めるのかを解説したいと思います。

◆新型コロナウイルス感染症による、工期遅延・延長と追加の費用、損失は誰が負担すべきか?

結論としては、「契約条件次第」と言われています。

一般的な契約書には、「洪水、台風、地震、津波・・・その他不可抗力による債務不履行については、その責任を負わない。」とする不可抗力条項(Force Majeure/out of control)があります。
今回の新型コロナウイルス感染症による、工事遅延・延長および追加費用、損失は「不可抗力として扱う」というのが現在の一般的な見解です。

そのような中、海外でプロジェクト・マネジメントを行う当社では工期遅延と追加費用についてどのように対応したのか。
海外での建設プロジェクトに一般的に使われる契約フォームの1つFIDIC、マレーシアにおける工事請負約款PAM(マレーシア工事請負約款)のそれぞれのケースで、お話したいと思います。

FIDICを使用した某プロジェクト

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FIDICとは海外の建設・インフラプロジェクトにおいて発注者と請負者が交わす工事請負契約で頻繁に用いられている契約約款のことです。国際的にも認知の高いFIDICは、発注者側と請負側とが公平に扱われるなど、現代社会の志向に合致した契約約款書と言われています。

このFIDICでは、「不可抗力に関して工期延長に加えて損失と経費の請求ができるとなっています。
よって、FIDICを使った当社のプロジェクトでも不可抗力に関する工期延長と現場を維持するための経費について査定を行い、協議する方針となっています。

FIDICにおいて、新型コロナウイルス感染症による交渉の前に必ず請負側に伝えるべき大切なことは、「この不可抗力による損失の被害者は発注者も同様であること」です。プロジェクトを前に進めるためには、遅延と損失請求の分析を行い、あれもこれもと請負者の言われるままにならないよう妥当性を検証し、調整を図りながら、新型コロナウイルス感染症による中断期間以上に遅延させないよう、マネジメントを現在しております。

PAMを使用した某プロジェクト

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マレーシアで多くに採用される契約約款PAMは、「不可抗力への発注者側の対応として工期の延(EOT)を認める事は可能。損失、経費の請求(L&E)は認められないとの記載があります。

今回のコロナへの影響としては、非常に発注者保護の約款であると改めて感じました。

しかし今回の当社がプロジェクト・マネジメントを行うPAMを使ったプロジェクトでは、請求内容を精査(契約時の見積を確認し、実際に掛かると認められる経費を算出)を行った上で、プロジェクトを前に進めるため、発注者側と請負側の双方で「痛み分け」をするという妥協点にて落ち着いたかたちとなりました。

◆アフターコロナにおいて、発注者が考えるべき海外建設プロジェクトの注意点とはなんでしょうか?

アフターコロナにおいて、発注者が考えるべき海外建設プロジェクトの注意点とはなんでしょうか?

コロナにおける工期延⾧、損失と経費の請求へ対応をしている当社がお伝えしたいことは以下の4点です。

  1. 新型コロナウイルス感染症による工期遅延などの協議を行なう場合、海外のプロジェクトでは、日本で使用するような民間(旧四会)連合協定 工事請負契約約款ではなく、世界で最も広く使用されている契約フォームの1つFIDIC、マレーシアではPAM(マレーシア工事請負約款)等を使用することをおすすめします。
    郷に入っては郷に従えのことわざのように、その海外プロジェクトに対応した契約書を使用することがリスクを軽減します。

  2. 契約書の特記事項に「新型コロナウイルス感染症における遅延・経費はすべて請負者が負う」などは記載しないこと。対応のすべてを請負者の責任範囲として契約することは、リスク費用が過剰となり建設コストが高くなります。
    請負者への過度な要求は避け、コロナによる工期遅延や追加費用の発生の場合の対応を双方合意し、明示しておくことが大切です。

  3. 新型コロナウイルス感染症で中断してしまった場合、協議があいまいなまま工事を再開することは遅延や追加請求の原因が不明確になります。
    新型コロナウイルス感染症が原因となる工期遅延期間、損失と経費請求のみに対応するために、請負者からの請求を注意深くアセスメントし、査定し、正当な利益を確保するためにタイムリーに交渉をすすめることが重要です。

  4. 新型コロナウイルス感染症を経験した現在では、第2波、第3波での想定できるもの(不可抗力ではない)として、扱われる可能性もあり、今後着目していくことが必要と言われています。

◆アフターコロナ時代におけるプロジェクト・マネジメント会社が発注者にできること

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アフターコロナ時代におけるプロジェクト・マネジメント会社がプロジェクトを検討される、もしくは担当されている発注者にできることについて、当社で考えてみました。

将来、海外プロジェクトを考えている場合

多くの発注者は、ただでさえ慣れない海外プロジェクトで苦労されているケースが少なくありません。
発注者にとっての最良の提案を様々なケースに対応し、さまざまな選択肢を第三者から中立的な立場でどのように工事請負契約を結ぶのかを提案する事は、プロジェクト・マネジメント会社の役割と考えています。

今回のコロナ騒動も含め、プロジェクトを推進する過程では多くのリスクがあります。
それらを意識しつつ準備を整えていく事が大切です。適切なリスクマネジメントにより結果的に大きな利益を生み出すことが出来ると考えております。

現在、プロジェクトで悩まれている場合

現在プロジェクトで工期遅延・追加費用請求で悩まれている発注者は、まず当初からのあらゆる契約内容、いままでの工事進捗、プロジェクトの経緯、請負業者から提出された資料などひとつずつ精査することをお勧めいたします。

請負者は、専門的で技術的な知見を持っており、それらを盾に正当化して協議を優位に進めようとすると思われます。
知見、知識を盾に協議を行う相手には、その相手を上回る知識、知見をもって対峙する事が必要となります。請負者からの論拠に対し、専門的な知見を持って対峙することで発注者へのサポートすることは、ゼネコンまたは設計会社の出身が在籍するプロジェクト・マネジメント会社がアフターコロナ時代における発注者にできることであると考えています。

◆まとめ

新型コロナ感染症は、世界のほぼすべてのビジネス分野に影響へ与え、不可抗力への考え方を深める機会となりました。この経験を活かし、リスク可能な限り予測し、どう立ち向かうのかを考えることが大切となります。

契約者間の協議となる場合、契約書にどのように記載されているのかですべてが決まります。今後契約書はどのように記載すべきなのか、建設請負者という知見、知識を盾に持つ方と協議を行うには、その相手を上回る知識、知見をもって対峙し、よりハイレベルな手段と選択肢を検討することが必要です。

いままでの契約、工事進捗、プロジェクトの経緯を整理・確認する事が発注者を守ることにつながり、プロジェクトを前進させる手立てであると考えております。

急ぎ、コロナ禍でのプロジェクトの進め方、工期延⾧と資金・追加費用対応のお悩みのご相談を受け付けております。


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