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海外建設事情

日系建設プロジェクトにみられるインドネシアでの地鎮祭のスタイル

昨今のインドネシアの経済状況は、堅調な内需・投資で経済成長が加速し、進出している日系企業の約65%が営業利益について黒字を見込む好調振りを見せています。
また5年に1度行われる大統領選挙では、外国投資を積極的に誘導する施策のジョコ・ウィドド大統領が再選しました。

「市場 規模/成長性」に注目を集めるインドネシアには、今後も多くの日系企業が進出すると考えられます。

参考:JETRO 調査レポート「2019年度 アジア・オセアニア進出日系企業実態調査(2019年11月)

さて、本日のトピックは建設投資を行う際、工事着工時に行う【地鎮祭(Ground breaking ceremony)】です。イスラム教徒が約85%以上占めるインドネシアで、日系企業はどのように地鎮祭を行っていくのかをわたくしたちの経験を踏まえ、解説します。

◆日本式の地鎮祭とは

そもそも、日本の地鎮祭はなぜ行うのか?

地鎮祭とは、建物の新築や土木工事の起工の際などに、その土地の神様を祀り、工事の無事進行・完了と土地・建造物が末長く安全堅固であることを祈願するために、おこなわれる祭りです。
土地の神に敬意をはらい、使用の許しを得て、工事の安全と生活の平安を祈願するという祭りの意味は、まさに日本人の生活習慣における伝統や信仰に基づいたものといえます。

im1_im_001.jpg神社本庁地鎮祭についてより引用

日本の地鎮祭の特徴

祓の行事【四方祓(しほうはらい)の儀】

祭場四方の敷地を大麻で祓ったり、半紙と麻を切って作った切麻(きりぬさ)などを撒き、祓い清めます

起工の行事【刈初(かりぞめ)の儀・穿初(うがちぞめ)の儀】

施主・施工者が忌鎌・忌鍬・忌鋤などにより、草を刈り、地を穿つ(掘る)所作をおこない、神様に工事の開始を奉告します

供物の行事【鎮物(しずめもの)埋納の儀】

神霊を和め、鎮めるために鎮物の品を捧げて、工事の無事安全を祈念します

◆インドネシアの地鎮祭(Ground breaking ceremony)

インドネシアの地鎮祭はどのように行うの?

インドネシア方式地鎮祭(Ground breaking ceremony)の全体の流れは以下の順となります。

開会⇒ 祈祷⇒ 挨拶⇒ 地鎮⇒ 一番杭打設⇒ 祝膳⇒ 記念撮影⇒ 閉会⇒ 祝宴(ランチ)

「祈祷」、「地鎮(生け贄の埋納)」、「一番杭打設」、「祝膳」がインドネシア式の特徴であり、日本と同じように、工事の安全を祈願して行うことが目的となります。

インドネシアの地鎮祭の特徴について

祈祷

ムスリムの祈祷者が呪文を唱え、参加者で復唱します。工事の無事安全を祈念します

地鎮

生け贄には、生きているヤギや牛(コストの関係でより安価なヤギのことが多い)を用意し、式典会場の脇で絞め(白い布で見えないように塞ぐケースもある)、頭を白い布に包んで、祭壇脇に予め地面を掘り準備されたコンクリートで固められた室に祈祷者が安置します。そして、発注者、設計者、施工者がその室にそれぞれ礎石を配置します

一番杭打設

式典会場から杭打ち機まで赤絨毯を敷き込み、実際の杭を図面通りの位置に打撃ハンマーにて打ち込みます

祝膳

トゥンペンという円錐状にかたどった黄色いご飯(ナシクニン)と、その周りにおかずを盛り合わせたプレートから発注者が小皿にトゥンペンの先端部を切り取り、施工者へ手渡します。これは施工者への信頼を示す儀式で、施工者はこれを受け取ることで誠実に仕事を完遂することを意味します

Tumpeng-Jawa.jpg◆日系企業がインドネシアで地域文化を尊重し、地鎮祭をおこなったら?

インドネシア式に日本式をハイブリット

海外であっても、日本の地鎮祭を行う事業主様もいます。しかし、地域文化を尊重し、また、ローカルの従業員の方を招いての式典であるため、インドネシア式に日本式をハイブリットするケースが多くみられます。

インドネシア式に日本式を組み込む場合の流れ(例)

「鍬(くわ)入れの儀」と「御神酒(おみき)献上」を「地鎮」の儀の後に組み入れることが、ありました。

開会⇒ 祈祷⇒ 挨拶⇒ 地鎮⇒「鍬(くわ)入れの儀」➡「御神酒(おみき)献上」➡ 一番杭打設⇒ 祝膳⇒ 記念撮影⇒ 閉会⇒ 祝宴(ランチ)

「鍬入れの儀」にて使用するお酒や鍬・鎌は、イスラム教の布教する現地では手に入りにくいため、日本から持ち込むなどの準備が必要です。そのため施工者自身では手配ができない場合もあり、事前に相互確認をしておく必要があります。

◆海外で建設プロジェクトを行うということ

日系企業様が行うインドネシアのプロジェクトでは、建築計画の事業企画、設計、入札、契約、施工の各段階で日本方式とインドネシア方式をミックスし、計画を進めていくケースが大半です。なぜなら、現地の伝統や習慣を尊重し、自らの事業コンセプトを加味した上で計画を進めることが海外での建築プロジェクトを円滑に進行するためには不可欠な要素だと考えるからです。


地鎮祭はその準備段階も含め、日本とインドネシアの文化融合を短期間で体験できる機会になります。大切なことはその地域の方々と深くコミュニケーションをとりながら、文化の違いを超えてお互いを理解し合うことであると感じます。


これから開始するインドネシア事業への不安と期待を実感できる貴重な機会となりですので、納得のいく地鎮祭を現地パートナー企業とともに企画し、特徴のある地鎮祭を開催して頂きたいと思います。


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