2021年版 マレーシア建設用地・土地探し 不動産購入・賃貸手続きにおける流れと注意点

7月 16, 2021

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「マレーシアの商習慣がわからない」

どのような敷地、建物を選べばよいのか?」

「物件選定をどのような手続きで進めればよいのか?

そんな疑問や不安をお持ちではありませんでしょうか?

建設プロジェクト立ち上げを行うプロジェクト担当者様がまず検討される工場敷地選定、倉庫敷地選定にお役に立つ情報として、マレーシア建設用地取得方法、不動産購入・賃貸の手続きの流れと注意点をまとめております。

本記事は、マレーシア・クアラルンプールで建設コンサルタントとしてプロジェクトマネジメント、コンストラクションマネジメントを提供し、企業様のアセアン進出・事業拡大を支援するPlus PM Consultant Sdn. Bhd.が作成したものです。

マレーシア建設用地取得の概要

マレーシアの土地は州政府の所轄となっており、所有に関しては州当局の認可を得て、登記を行うことが出来ます。

首相府経済企画庁(EPU:Economic Planning Unit)の「不動産取得に関するガイドライン」によると、外国人、外国企業が取得できる不動産の最低価格は100万リンギとなっています。ただし最低金額は州により変わってくるので注意が必要です。

フリーホールドとは?リースホールドとは?

土地所有には2種類あり、フリーホールド(自由保有権)とリースホールド(借地保有権)があります。

フリーホールドとは、

不動産の購入に際して、土地と建物両方の所有権を登記できます。かつてマレーシアの土地は州政府が所有していましたが、一部プランテーション事業のために譲渡したことで、土地に関しても永久的な権利として登記できるようになった不動産を言います。

リースホールドとは、

フリーホールド以外の州政府が賃貸している不動産を言います。政府によって、30年、60年、99年間の賃貸期限が定められています。主にコンドミニアムは99年程度と長期のものが大半で、内容はフリーホールドと変わりはありません。リースホールドはよくみる権利形態であります。

農業用、工業用、商業用、住宅用と使用目的が定められており、用途以外の使用は禁止されています。

不動産取得の手続きフロー

マレーシア 建設用地取得方法、不動産取得手続きの流れは以下のようになります。

STEP1物件の選定(評価基準の決定)
STEP2物件の見学、確認
STEP3売主と物件引き渡し条件の確認
STEP4売主がオファーレター(Letter of Offor)を発行
STEP5デポジットの支払い(通常、物件価格の2%)
STEP6売買契約書(Sales & Purchase Agreenent : SPA)の作成
STEP7売主、買主両者でSPAに署名後、買い手は価格の8%を支払う
STEP8譲渡手続き
・ERU に申請が必要な場合は、まず EPU に申請し、認可を取得
・州政府に認可申請
・EPU、州政府の認可取得後、残りの90%を支払う。
・登記局(Land Office)へ登記申請、登記料を支払う
STEP9登記局の手続きを経て、登記の完了

マレーシア建設コンサルタントの支援の価値

日本の民法では、契約関係の当事者同士は対等・公平であるとされています。しかし、マレーシアでは、不動産を売買・賃貸する場合、売主優位の契約書(SPA)になっているため、リスクをチェックする必要があります。

たとえば、


STEP5 契約書(SPA)の作成の前にデポジットの支払い(物件価格2%) の支払い


ここでのリスクは何でしょうか?

ここでのリスクは、「もしSPAが受け入れがたい条件であった場合、このデポジットの支払い(物件価格の2%)の扱い」です。デポジットの支払いを行う前に、SPAの内容次第では、デポジットは戻ってくるのか事前に確認することが重要です。

以下は、当社がSPAを確認し、売主と交渉した資料です。

当社では建設プロジェクトに精通した弁護士をと協業しデポジット支払い・SPA締結前に、プロジェクトの川下まで見据えたプロジェクトリスクの抽出と不都合な条項がないか、チェックと交渉をしました。

マレーシア 建設用地取得方法土地取得方法land-selection-for-construction-projects-in-malaysia2_Plus PM Consultant
SPA 確認・交渉業務レポート

また 土地・建物の登記や諸官庁申請の書類、地盤、インフラ(電気、水道、ガス)条件を確認、分筆または合筆登記の要否も確認した方がよいです。これらの要素は、費用とスケジュールに大きな影響を与える可能性があります。

エージェントや売主が親切であるからといって、相手から示される契約書をうのみにしないことが大切です。

賃貸契約時の注意点は?

官庁許認可図面、建物使用許可(CF またはCCC)、消防局認可書(BOMBA Approval)を確認してください。

もし、「今申請中だ」「仮認可は取得できている」というような返事の場合、リスク(違法建築など)が高いとおもわれます。

また、賃貸借契約書がオーナー側から示されることから注意点は、売買契約同様になります。

建物の引き渡し条件を確認し、オーナーの費用負担で改修や直してもらうべき点を実施してもらうことが重要です。賃貸契約期限前に解約すると、通常、残存期間分の賃貸料を取られるなどもあるため、契約更改の条件を確認することが大切です。

不動産仲介会社、弁護士の選びの注意点

不動産仲介会社への注意点

通常、売主のみが手数料を負担するため、不動産を購入する場合は買主は手数料を支払わないのが一般的です。しかし、商習慣を知らない外国企業に対しては、現地不動産エージェントに不当な手数料を要求される可能性も否定できないため、事前に確認しておくことが重要です。

弁護士への注意点

マレーシアでは、契約書の作成は不動産仲介業者ではなく、不動産取引を専門としている弁護士を介して行います。ですが弁護士が土地瑕疵、建物瑕疵などについて”買主を保護するアドバイス”を行うことは建設プロジェクトの専門家でないため困難です。また不動産仲介業者や売主が弁護士を紹介してくれる場合もありますが、あくまで買主側で買主のリスクを抑制できる弁護士を選ぶことをおすすめします。

また日本の法律で規定されている重要事項説明(宅地建物取引業者が土地・建物の売買や仲介などをする際に、契約前に行うことを義務付けられている説明)の義務もマレーシアではありません。たとえ不動産に瑕疵があっても、契約後に売主に対し瑕疵担保責任追及を行うことは難しくなるため、買主自身がリスクを排除する必要があります。

不動産取得の費用

不動産の取得費用は比較的低めで、ほとんどの費用は規定されており、不動産の価格をベースに決定されます。およそ物件価格に4%くらいと見積もっておくと良いかと思われます。

  • 印紙税(1~3%)
  • 弁護士費用(0.4%~1%)
  • 登記料(州、物件により異なる)

マレーシア工業団地

国際機関日本アセアンセンターにて、マレーシアの工業団地リスト List of Industrial Parks (Malaysia)がまとめられています。クリックすると国際機関日本アセアンセンターサイトへ移動します。

マレーシアの工業団地リスト List of Industrial Parks (Malaysia) - 国際機関日本アセアンセンター

引用:国際機関日本アセアンセンター マレーシアの工業団地リスト List of Industrial Parks (Malaysia)

結論、まとめ

  • 所有に関しては州政府の認可を得て、登記を行う
  • フリーホールドとリースホールドか確認する
  • 契約書(SPA)のリスクをチェックする
  • 官庁許認可図面、建物使用許可、消防局認可書を確認する
  • 契約後に売主に対し瑕疵担保責任追及を行うことは非常に難しくなるため、事業主が主体的にリスクを排除する

マレーシアへ建設投資をご検討中の皆様へ、

Plus PM Consultant Sdn. Bhd.は建設コンサルタントとしてコンストラクションマネジメントの手法を用いてプロジェクトマネジメントをさせて頂いております。
工場建設、倉庫建設、コンドミニアム建設、ホテル等、あらゆる建設事業に対応します。建設だけに限らす、建設投資全般に関する建設コンサルタント業務、敷地選定コンサルティングサービスも提供しております。ぜひ、ご相談ください。

本記事はPlus PM Consultant Sdn. Bhd.がマレーシア現地の取材、および以下参考・参照の情報をもとに作成しています。
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